「IoT 最新事例セミナー」が無事に終了、各社のIoTの取り組みをご紹介します。

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会場の様子

目黒のアルコタワーにあるAmazon社のセミナールームにて、2月26日に行われたIoT最新事例セミナー。会場には多くの方々にお越し頂きました。各スピーカーの事例などを含めて、当日の様子をお伝え致します。

今回参加を希望された方々は130名にも達し、その7割がメーカー企業ということで、メーカーから見たIoTの事例などの興味の高さが伺えました。

1. Amazon AWSのIoT最新状況と事例

最初のスピーカーは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社パートナーソリューション アーキテクトの小梁川氏によるものです。同氏は今までAWSのシステム開発を4年ほど行ってきておられ、現在はAWSパートナー向けのサポートを担当されています。

Amazonは積極的にIoT事業に進出しており、アメリカではAmazon Dashと呼ばれるハードウェアボタンを使うと、例えば洗濯機に取り付けたボタンを押すことで洗剤が届く、といった事が実現可能になります。また、プリンターからインクが足りなくなった場合にすぐに届くといった仕組みも提供しています。

Amazon Echoでは、会話形式で音声指示を待つデバイスで、例えばSpotifyとも連動して特定のプレイリストを再生するといった機能を実現しています。さらに、Amazon Prime Airは、専用のドローンを活用して顧客の住所まで配送を行う、といった取り組みも。

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海外の事例

GE on AWS:生産工場向けのソリューションなどを手がけ、既にコアシステムの50%はAWSへ移行済み。

Tata:敏捷性が高く、スケーラビリティに対応する欲しい時にすぐに手に入る。

BMW:CAROSSO(自動地図学習システム)での活用、実際に走る車のデータを基にして、マップデータの更新を行う。

John Deere:農作向けのセンサーと連動、データの分析・活用。

dash – 車のセンサー情報をクラウドに収集し、車の状況把握や燃費走行の提案などをモバイルアプイを通じて提供している。1日で1TBのデータを収集・分析。

Risk Technology:保険と自動車テレマティックスのグローバルなソリューションプロバイダーで、数百万の自動車からのリアルタイムなデータを分析し、運転手のスコアリングや自動車事故などを検出、保険料として活用している。

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日本の事例

あきんどスシロー:長年の経験としての回転寿しに回すネタをデータ分析し、今の寿司はこれだ!というのをIoTで管理している。

サニックス:太陽光発電システムの販売を行う同社は、設置している発電システムの故障対応を遠隔監視システムを導入して改善。

嘉穂無線:店舗内にビーコンを設置し、従業員にもたせたタブレットとカートに設置したタブレットを元に従業員の動向と顧客の動線を可視化。

JAL:Jibe Mobileの提供するリアルタイム一管理ソリューションであるBlu-trailを活用して、羽田空港のIoT化を目指す共同実証実験を実施。

エコモット:北海道の冬の時期の融雪向けとして、カメラを使って道路での積雪量等を解析し、必要なところだけ効率的に燃料を使って溶かす。

トライポッドワークス:ネットワーク越しで監視できるカメラソリューションを展開し、作物の成長状況をカメラで撮影して監視。

JMAS:iBeaconを使ったサービス開発であるBeacapp向け。街コンアプリとして。

ブログウォッチャー:位置情報と顧客情報を合わせて広告配信し、必要な時に必要な情報を送ることが可能。

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IoTの未来

大事なのは、新しいビジネス・価値のある点を早く創り出すことである、と述べ、Amazonとして考える「収集、蓄積、分析、活用」の4つのセグメントに対して、AWSを通じてエコシステムで各社のデバイスセンサーの知識や業務知識等を共有しつつ、課題解決が短期間で行える、としました。また、IoTの分野に関しては初期投資がどれほどかかるか、見えないケースが多く、例えばセンサーの数が1万単位等の導入の際など、AWSを活用することで柔軟なインフラリソースをフレキシブルに利用することが可能です。

2. 「Blu-trail」が実現するIoTイノベーション

次のスピーカーは弊社取締役の清水氏。ガートナーによれば、2020年にはネット接続されるIoT端末が260億端末と、劇的に増加することや、市場規模も220兆円になると見ていることや、日本市場も飛躍的に成長する見込みで、2015年は6兆円が2020年には倍以上の13兆円に達するとしています。

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ラスベガスで行われたCESで、当社が注目したソリューションとは?

今年の1月にラスベガスで行われた家電見本市であるCES 2016では、ドローンやVRがメインだったものの、当社として注目した下記のソリューションを紹介しました。

ホームセキュリティ半導体:電池寿命が7年と飛躍的に伸び、Jigbeeにも対応。

シール型:米MC10社の提供するシール型の健康センサーは、体温や脈拍を計測可能で、コストは10ドル以下を実現

自動車自動運転:NVidia社の新しいソリューションにより、車に設置されたカメラから得られる映像を元に障害物を感知し、ディープラーニングで回避する。手に乗るほどのロジックボードでMacbook Proと比較すると、150台分の処理能力を誇っている。2020年にはデフォルトで車に搭載される時代になってくる。

Project soli:Googleによって開発されたソリューションは、チップから電波が放射されており、ユーザーが行うアクション、つまむや回す等のジェスチャーを認識することが可能。今後、Android等のスマホで採用されることで、様々な新しいサービスが生まれてくるのでは?

Project Soli by Google

IoTを導入するポイント

航空会社なども積極的にIoTを取り入れ、高度データや気流をデータとして記録することで、航空経路を改善したり、定期点検作業の最適化を行うことで、12億円のコスト削減を行うことができたり、公共スペース向けとしてスマートなゴミ箱であるBigbellyを導入することで、ゴミの残量を把握することにより、回収のルートを最適化することで、平均17回の回収回数を3回まで減らせたことや、作業に関わるスタッフも今までの33人から9人へ減らすことができ、70%となる160万ドルの削減を実現したことができた、とのこと。

IoTの大きなポイントとして、どこにセンサーを設置し、どのようにデータを収集するのかが鍵となる。例えば、米NestはセントラルヒーティングにAIを取り入れ、冷暖房のデータを収集・解析することで、部屋の温度を快適な温度で効率的に自動調整することに加えて、20社以上の電力会社向けにデータを販売し、需要に応じて電力を発電する、といった取り組みをしています。

今後もキャリア向け大規模システム開発の実績や、ビッグデータやAI、機械学習ソリューション、さらにはスマホアプリ向け技術開発やソリューション提供等のノウハウを生かしつつ、自社ソリューションである「Blu-trail」を始めとし、IoT市場に貢献して行きます。

関連リンク:Blu-trailMC10BigbellyNest

3. 39Meister ものづくり支援ソリューションについて

次のスピーカーは、39Meisterプロジェクト(株式会社NTTドコモ)39worksの菊地氏。ベンチャー向けものづくり支援を行う中、アメリカでの動向や最新事情等を共有頂きました。

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海外では、アイデア創造はサンフランシスコ、プロトタイプや量産は中国・深センが主流

サンフランシスコ x 深センのエコシステムとして、量産や資金調達を支援するプロジェクトやアクセラレータが存在し、お金だけではなく、作り方や広め方まで支援するのがメジャーとなっており、ハードウェアアクセラレータとして有名所は下記の通り。

ドラゴンイノベーション:2009年設立、老舗的な存在。ハードウェアVCである「BOLT」と協業することで、ファイナンスと量産のエコシステムを実現。

HAXアクセラレータ:2012年に設立、中国・深セン似て4ヶ月間のプログラムののち、サンフランシスコでデモデーを行う。プロトタイプから販売までを担当。

Highway1:2013年設立、中国大手EMS企業によって作られた。4ヶ月間サンフランシスコの後、2週間中国・深センでキャンピング。デモデーはまるで盛大なお祭り状態のよう。

TechShop:サンフランシスコベース、会員制ものづくり工房の「本家」。六本木一丁目アーク森ビルにプレオープン予定。

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日本はどうか?

今となっては中国の労働コストが年々上がってきており、現在となっては生産拠点を海外から日本へ戻している企業も多くある。日本なりのやり方として、アイデアは米国・プロトタイピングは中国・深センを、日本ではアイデアとプロトタイピング、そして量産まで全て行えるのではないか?と投げかけました。

ベンチャー企業として、大手にはないアジリティ、常識外れのアイデア、そして並外れたチャレンジ精神と、製造業の負けず嫌いの職人魂、想いで動き、守り抜いてきた製造技術の双方を上手くマッチングさせることで、世界にも負けないアイデアや競争力を持つことができるものの、両者の間にはエコシステムを妨げる大きな「谷」が存在する、としました。例えば、ベンチャー企業はslackで対話し、メールでアイデアを投げたりRaspberry Piで設計を行うのに際し、製造業はFAXや電話を利用するのに加えて、詳細な設計書を期待している、といったもの。

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事業自体の参入障壁が高い

この谷を取り除けていない理由としては、ベンチャーのことを知らない、ものづくり業界のことを知らない、やる意味を感じていない、と事業自体の参入障壁が高いことを指摘しました。

39 MESTERのフィールドであるものづくりエコシステム創りでは、「IoT試作受託」も受け付けており、今後の展開が期待できます。

関連リンク:39works

4. 日本航空におけるIoTへの取り組みのご紹介

最後のスピーカーは、日本航空株式会社のIT企画本部 IT運営企画部マネジャーである小磯氏。日本航空におけるIoTやITソリューションの導入や取り組みをご紹介頂きました。

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2014年にはGoogle Glassを活用

野村総合研究所と一緒になり、ウェアラブルデバイス領域における継続的な取り組みと経験蓄積の契機を目的としたこの取り組み、既にヴァージン航空が顧客情報を参照する形で地上スタッフに導入を行っていたところもあり、日本航空のCAに提案したところ、情報を参照する際に目線をどうしても上に外す必要があり、却下されたようです。

実証実験では、ソーティング場での手荷物バーコード認識や整備担当と整備サポートの間の連携にて活用されました。

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2015年には位置測位技術Blu-trailを使った実証実験を実施

当社のソリューションである「Blu-trail」を活用し、羽田空港国内線第1旅客ターミナルにて、ベビーカーや車椅子の位置を把握したり、空港スタッフの位置把握のユースケースを対象として実施されました。特に繁栄期には、機材が不足する「ストップアウト」の状態が多発することがよくあり、それをどのように防げるかというのが大きな課題の一つでした。

ビーコン受信機は計30台設置し、設置作業は夜間行いました。

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実証結果は、70%のスタッフが今回のようなベビーカーや車椅子の位置把握が便利だと考えている。

空港で従事するスタッフは約600名で、アンケートを行った結果として、90%以上のスタッフが過去にベビーカーや車椅子のストックアウトで困った経験をしており、また70%のスタッフが今回のようなベビーカーや車椅子の位置把握が可能なシステムが導入されると便利だと考えている、と好感触でした。また要望として、ベビーカーや車椅子が使用中かどうかがステータスとして分かるようにして欲しい、といったものや、駐車場、京急乗り場、第2ターミナルでも導入して欲しい、といった声が多数挙がったようです。

最後に、最近行われたロボットの活用では、「サービスロボットNaoの活用」実証実験が野村総合研究所と共に行われ、対話形式によるお客様への情報提供や締め切り時刻アナウンスといった用途を、複数の言語に対応して行われました。便名の案内や搭乗ゲートの案内、搭乗口までどれほどの距離があるか、そして旅先の那覇の天気等の案内といったインフォメーションを流暢に行っている様子が映像として再生されました。

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今後の取り組みについて

日本航空としては、IoT、人工知能、ロボット分野で、引き続き継続的な取り組みを行って行き、点から線での取り組み、さらには面での取り組みを、IoTを利用することでユーザーに押し付けになっていないかどうかを常に吟味しながら実行して行きたいとしました。

まとめ

参加者の方々は、様々な業界から出席されており、スピーカーの方々が共有してくださった最新の動向や市場規模のデータ、また提供されているサービス内容や、実証実験の内容やその結果にとても興味を持っておられたようです。

今後もIoT業界の情報交換の場として、また実際導入するに際してのアドバイスやノウハウ等の場として、こうしたセミナーを開催して行きたいと考えておりますので、是非皆様の次回のご参加をお待ちしております。